About 偕行社について~目的と事業概要、これまでの歩み~

理事長就任のご挨拶 -ホームページ訪問の皆様へ-

6月の理事会で新理事長に選任されました火箱芳文です。「偕行社」の理事長は身に余る光栄ですが同時に身の引き締まる思いです。
明治10年修養研鑽、団結を目的として創設された現役陸軍将校の同窓組織である偕行社は、昭和20年敗戦により解散を余儀なくされましたが、昭和27年「偕行会」が、更に昭和32年戦没者の慰霊顕彰等、会員の親睦のため「社団法人偕行社」が再建されました。
陸軍関係者の高齢化が進む中、昭和から平成に移行した頃、会員を陸自退役幹部にも拡大するとの方針により、平成13年陸上自衛隊等の元幹部自衛官の一部の有志が会員となり、偕行社を継承することになりました。
平成23年英霊の慰霊顕彰に加え安全保障に関する調査・研究・提言等や自衛隊に対する必要な協力等を役割とする「公益財団法人偕行社」に移行しました。私は退官直後の24年偕行社に入り、安全保障委員会を主な活動の場にしてきました。活動を通して偕行社の歴史、活動の意義を理解した結果、より多くの陸自幹部退官者が入会し将来は陸自退官者が繋いでいくべき組織と確信し勧誘に努めましたが、現役の幹部自衛官を始め後輩たちの偕行社に対する認識は薄く、加入者は期待するほど伸びていきません。近年特に陸軍の元将校が高齢化により退会し、元陸自幹部自衛官有志の会員の漸減と会費収入の継続的な減少、更には資産運用益の大幅な減少により、恒常的な赤字体質が定着し存続に関わるほどの課題を抱えていることを承知致しました。
 
存続するためには新体制への速やかな移行が急務であり、平成30年から将来体制改革実行委員会に参画し(令和2年「運営企画会議」に名称変更)議論を重ね、財務状況に見合った事業の精選・効率化、新社屋の購入、定期刊行誌『偕行』の隔月発行、事務局員の削減等財務状況の改善に努め、定款等の変更案を理事会、評議員会に諮り、令和4年からようやく「安全保障等に関する調査・研究・提言及び普及」「陸上自衛隊等に対する必要な協力」英霊の慰霊顕彰等」を柱とする諸事業を推進し、英霊の慰霊・顕彰と我が国防衛に関する諸問題の是正を目標として、陸自に対する支援を活動の中心におき、より多くの陸自等の元幹部全員等によって支えられる新生公益財団法人としての歩みを始めたところです。
 
一方で偕行社がその活動を充実・発展させ末永く継続するためには陸自の幹部退官者の有志の加入ではなく退官者の組織が受け継ぐことが必要との森理事長の強い想いに賛同し「陸自幹部退官者の会」の設立に向け関わることになりました。組織的に受け継ごうにも陸自には残念ながら受け皿となるべき幹部退官者の会がありませんでした。
そこで森理事長は元陸幕長の立場で「陸自幹部退官者の会」の設立を指示され、元陸幕長の後輩として準備段階から設立に関わり、令和4年4月、遂に陸自幹部退官者の会即ち「陸修会」の発会まで漕ぎ着けることができました。直後から偕行社と陸修会で合同に向け協議が行われ、『合同後の組織は偕行社の目的(理念)、定款に記載している事業は全て引き継ぐこと』、『合同後の名称は「陸修偕行社」とすること』『合同の時期は令和6年4月とすること』が決定されました。
今後は陸修会からも新しい役員等の加入も予定され正式に令和6年4月から「陸修偕行社」として活動の開始が予定されています。今新生偕行社から更なる新々偕行社即ち「陸修偕行社」に向けスタート台に立ったと思っております。
 
偕行社がその活動を充実・発展させ末永く続けていくためには陸上自衛隊への帰属意識を強く持つ多様な人材からなる元幹部自衛官等に支えられた持久力のある新体制への移行が不可欠であります。評議員会のご指導を受けつつ、新しく選任された理事、常務執行役、各委員長とともに、偕行社の伝統を継承し、陸上自衛隊に対する協力を退官後の喜び、生きがいとし、現職自衛官から頼りにされる偕行社に発展していくよう様々なことに先頭に立って果敢に取り組んで行く覚悟です。  
 
諸先輩方、そして会員の皆様のご指導とご協力を頂いて、誠心職務を全うしたいと考えており、何卒宜しくお願い致します。 
 
令和5年年6月
公益財団法人偕行社理事長 火箱芳文

偕行社の目的

 公益財団法人偕行社は、安全保障等に関する調査・研究・提言及び普及、陸上自衛隊等に対する必要な協力、英霊の慰霊顕彰及び自衛隊殉職者の追悼等並びに地域社会活動に対する協力等を行い防衛基盤の強化拡充を図り、もってわが国の平和に関する国政の健全な運営の確保に寄与することを目的としています。
 

偕行社の事業

偕行社は上記の目的に資する各種事業を展開しております。
1 安全保障等に関する調査・研究・提言及び普及
2 陸上自衛隊に対する必要な協力
3 英霊の慰霊顕彰及び自衛隊殉職者の追悼、戦没者の遺骨収集並びに自衛隊殉職者遺族の援護
4 地域社会活動に対する協力及び国内外の友好団体との交流
5 集会施設等の運営
6 図書等及び物品の販売
7 会員の研鑽と親交
8 その他この法人の目的を達成するために必要な事業
これらの事業は、日本全国及び海外において行うものとします。

History 偕行社の歴史

1 創設から終戦まで

明治10年(西暦1877)2月15日、当時約3000人に及んだ陸軍将校の一心同体を目指し、会合の場所として東京の九段上に集会所が設置されました。これが偕行社の創立であり、実に西南戦争の僅か前の出来事です。
後に各師団所在地にも偕行社が拡充されていきました。その結成は、現在の陸上自衛隊幹部の「修親会」や航空自衛隊幹部の「幹部連合会」と同じように、陸軍将校の修養研鑽と団結が主な目的でした。

明治初期の偕行社
(明治初期の偕行社)


「偕行」の意味は「共に軍に加わろう」ということで、詩経・無衣の篇・第3章(BC900~BC700)の次の漢詩から採用したものといわれています。
 修我甲兵(鎧、打ち物、うちそろえ)
 與子偕行(二人でいこう その時は)
 あに衣なしといわんや (着るものがないと言うものか)
 なんじと裳を同じくし (君とズボンを共用してでも)
 王ここに師を興さば  (王が軍を発起すれば)
 我が甲兵をととのえて (自分の鎧と兵器を整えて)
 なんじと偕に行かん  (君と一緒に行こう)


昭和初期の偕行社

(昭和初期の偕行社)
 

偕行社は、このように陸軍の部隊駐屯地外の集会所としてスタートし、将校たちの会費によって運営され、財団法人として発展してきました。
各地の偕行社は宿泊施設を備え軍装品(礼装等の制服類、軍刀、拳銃等々)などを販売し、自衛隊における共済組合のような機能も発揮し、更に大阪や広島の偕行社においては、附属中学校や小学校まで経営し地域子弟の徳操にも務めていました。
しかし、偕行社は敗戦によって解散を余儀なくされます。

2 戦後の偕行社発足から平成まで

戦後、昭和26年(西暦1951)頃から、有志が集まって再建の動きが起こり、昭和27年8月に偕行会が発足、昭和32年(西暦1957)に、陸軍関係の戦争犠牲者の福祉増進と会員の親睦を目的とする財団法人として12月28日、現「偕行社」の設立が認可されました。

偕行社における戦争犠牲者とは、戦傷病者及び戦没者遺族等を指しています。主として遺族に対する授産・育英・結婚相談等を事業として実施してきましたが、戦後年数が経ち戦没者の子弟も熟年期に入り、偕行社は転換期を迎えつつあります。

社屋の場所には幾つかの変遷があり、昭和34年に靖國奉仕会(旧名称:国防婦人会)から土地・建物を寄贈されJR市ヶ谷駅の南側、千代田区五番町12番地に所在していました。
昭和63年にこの建物土地を売却し、九段の社屋(千代田区九段南4-3-7、翠ビルの2・3・4階を借用)へと移転しました。平成26年には2階部分を返還し、3階と4階の2フロア体制となりました。
 
五番町時代の偕行社

(戦後、多くの会員に親しまれた五番町会館)

九段時代の偕行社

(平成期を支えた九段・翠ビル)

3 平成から令和、そして未来へ

平成13年から、主として陸上の幹部自衛官であったものを正会員に加え、新たな偕行社へと向かう事が決まりました。
また、平成19年には、防衛省と厚生労働省の共同所管の財団法人となりました。その後平成23年2月1日をもって公益財団法人「偕行社」として認定され現在に至ります。
令和3年4月現在における会員数は元幹部自衛官約3500名を含む約4500名であります。
偕行社は、毎月定期刊行誌「偕行」を発行しており、その内容は会員の投稿による戦史回顧や随筆などのほか、各同期生等の親睦を深めるための別冊「花だより」等を含めた約80ページの機関誌で、全会員のほか図書館、自衛隊の主要部隊及び学校等に配布しています。
また、常置委員会、特別委員会を組織し、各種の事業活動を行っています。
 
そして令和3年8月、改元後初の事務所移転を行ないました。

現在の偕行社1
現在の偕行社2
現在の偕行社3
(新社屋外観。建物正面には市ヶ谷台の通信塔が望めます)

 
あわせて当ホームページもスマートフォン対応やSNSを主とした新時代の広報手段としてリニューアルを実施、最新の情報をお届けして参ります。 

4 公益財団法人偕行社 公式SNSアカウント

偕行社では各種SNSアカウントで広報発信を行なっています。
ぜひともフォローいただき、皆さまの周りにもお知らせいただけると幸いです。
 
・フェイスブック LinkIcon (https://www.facebook.com/kaikoshajp/)
・ツイッター LinkIcon (https://twitter.com/kaikosha1877)
・インスタグラム LinkIcon (https://www.instagram.com/kaikosha1877/)
・Youtube LinkIcon (https://www.youtube.com/)
 
 
事務所へのご案内(office.html) LinkIcon
入会のご案内(membership.html) LinkIcon